協同組合西日本帽子協会(HatandCap)

家庭用品品質表示法における組成表示(帽子業界自主基準)

平成29年3月に家庭用品品質表示法施行規則及び繊維製品品質表示規程が改正され、平成30年4月から、家庭用品品質表示法施行令及び施行規則に定める糸を表生地の全部又は一部に使用して製造した帽子についても、家庭用品品質表示法(以下、家表法という。)の規制対象となった。 繊維製の帽子が対象となっているが、本体に天然草木を使用し、装飾に繊維を使用して製造した場合など、一概に繊維製品とは言いがたい帽子について、家表法の対象となるか判断が難しいことや、特に装飾性の高い帽子は家表法の対象外となっているが、どのような帽子が該当するのか、その判断が難しいこと等のため、全日本帽子協会として以下のとおり自主基準を策定する。 なお、家表法及び自主基準に照らして表示対象外となる場合であっても、消費者保護の観点から可能な限り家表法の規定に準じた表示(自主表示)を行うことが望ましく、表示の統一性を持たすための指針としてこれを定める。

I.表示対象となる帽子

家庭用品品質表示法実務提要(以下、「実務提要」という。)によれば、同法の対象となる帽子は、帽子の表生地の全部または一部に家表法で対象と定める糸が使用されているものを対象とし、表生地とは、実務提要によれば、帽子の頭、つば、ひさし、つば裏、ひさし裏に使用する生地を指す。 ここでいう帽子とは、日常的に使用される通園通学帽子、運動帽子、スポーツ・レジャー用帽子(野球帽子、テニス帽子、ゴルフ帽子、水泳帽子等)、防暑防寒帽子、タウンハットその他これらに類する帽子をいう。 ただし、特に装飾性の高い帽子や、麦わら等の天然草木、皮革、合成皮革及びフェルト製の帽子並びにゴム製の水泳帽子(以下、「対象外の帽子」という。)は対象とならない。

(参考)
家表法で対象と定める糸とは、糸の全部又は一部が綿、麻(亜麻及び苧麻に限る)、毛、絹、ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、アセテート繊維、ナイロン繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリウレタン系合成繊維、ガラス繊維、ポリエチレン系合成繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維又はポリプロピレン系合成繊維であるもの。
(補足1)
上記に列挙している繊維は、現在、国内で生産・流通されている繊維であって、およそ家庭用品の原材料として考えている。そのため施行令及び施行規則で定められていない植物繊維がある。その例として次の繊維等がある。
カポック、ケナフ、パンヤ、大麻、黄麻、マニラ麻(アバカ)、サイザル麻、ココヤシ、パイナップル繊維、バナナ繊維、ロープーマ等。
(補足2)
麦わら等の天然草木の帽子とは、植物の葉や茎を本体に使用した帽子であり、材料の太さ、幅の大小、撚りの有無は問わない。

II.特に装飾性の高い帽子

ここで言う装飾とは、糸が使用されているか否かを問わず、帽子本体に縫付け等で取付けられたリボン、ボタン、ワッペン、紐、レース、ビーズ、スパンコール等を指し、また刺繍も含まれる。 特に装飾性の高い帽子とは、冠婚葬祭時に着用する礼装用帽子や舞台用衣装等として着用する帽子、または帽子の表生地全体の面積の概ね2割程度に装飾を施した帽子(装飾の種類や素材を問わない)を指す。 ただし、概ね2割程度は目安であり、一般消費者が通常生活の用に供する可能性がある状態で販売されるものであれば、特に装飾性の高い帽子に該当しない。 また、複数種類の装飾を施した帽子(例えば、リボンとワッペンが装飾されている帽子)も該当しうるが、一般消費者が通常生活の用に供する可能性がある状態で販売されるものであれば、特に装飾性の高い帽子に該当しない。

装飾性の高い帽子の全てを示すことは困難であるが、いくつかの例示を示すと以下の通りである。 個別の製品については、これらを基にして、特に装飾性の高い帽子であるか否か、通常生活の用に供する帽子であるか否かを協会会員で判断いただきたい。

装飾性の高い帽子

III.麦わら等の天然草木製の帽子の表示方法

1. 天然草木のみを使用して製造した帽子については、家表法で対象と定める糸を使用していないため、家表法上、表示対象外であるが、消費者に製品の情報を提供するために、任意表示として材料の名称を表示(百分率は表示しない)する。

*本体がラフィアの帽子の場合

a. 表示例 天然草木(ラフィア)
b. 表示例 この帽子は天然草木(ラフィア)を使用しています

*本体がラフィアとヒノキの2種類の帽子の場合(複数種類)

a. 表示例 頭部分 天然草木(ラフィア)
つば部分 天然草木(ヒノキ)
b. 表示例 天然草木(ラフィア)
天然草木(ヒノキ)
c. 表示例 この帽子は天然草木のラフィアとヒノキを使用しています

2. 天然草木製の本体に、家表法で対象と定める糸を使用して作った装飾を、縫付け等で取付けて製造した帽子については、一見して繊維ではない帽子でも、組成表示上、繊維100%の表示となり、消費者に誤った情報提供がなされる可能性があるため、装飾以外の部分が家表法の対象外であれば、装飾に対象と定める糸を使用している場合であっても、家表法上、表示対象外である(注1)が、消費者に製品の情報を提供するために、任意表示として材料を「分離表示」にて表示(天然草木については百分率を表示しない)する。

(注1)
帽子については、装飾(縫付け等で取付けたリボン、ワッペン、紐などの他、刺繍も含む。)部分に家表法の対象と定める糸が使用されている場合であって、装飾以外の部分が家表法の対象外である場合には、装飾部分のみの表示をもって帽子全体の表示と誤解されるような情報提供がなされる可能性があるため、装飾も含めて家表法の対象外となることを消費者庁に確認済み。

*本体がラフィアの帽子にポリエステルのリボンを縫付け等で取付けた場合

a. 表示例 本体 天然草木(ラフィア)
装飾 ポリエステル100%
b. 表示例 天然草木(ラフィア)
ポリエステル

3. 天然草木製の本体に、家表法の対象と定める糸を帽子の形状を整えるための副資材として使用している帽子については、天然草木と副資材のみであることから、家表法上、表示対象外である(注2)が、全日本帽子協会では消費者に製品の情報を提供するために、任意表示として、本体材料の名称と副資材の組成を表示(天然草木については百分率を表示しない、副資材は分離表示)する。

(注2)
帽子の形状を整えるために使用する糸は、副資材に含まれ、家表法の表示対象外となることを消費者庁に確認済み。
(補足)
帽子の形状を整えるために使用する糸とは、材料の形状や強度を保つための補強用の糸等(巾糸、耳糸、縦糸等を含む)をいう。

*本体がラフィアの帽子に形を整えるための糸としてポリエステルを編込んだ場合

a. 表示例 本体 天然草木(ラフィア)
副資材 ポリエステル100%
b. 表示例 天然草木(ラフィア)
本体には形状を整えるためにポリエステル100%の糸を使用しています

4. 天然草木製の本体に、家表法の対象と定める糸を使用している帽子については、家表法の表示対象となる(天然草木については百分率を表示しない)。
但し、家表法の対象と定める糸と天然草木を一緒に使用する場合の表示方法は、対象の糸が上位(先に)に表示する必要がある。

*本体にラフィアとポリエステルを柄や模様等デザインとして使用した帽子の場合

a. 表示例 つば部分 ポリエステル100%
頭部分 天然草木(ラフィア)
b. 表示例 色糸部分 ポリエステル100%
その他 天然草木(ラフィア)

IV.紙繊維を使用した帽子の表示方法

1. 紙繊維のみを使用して製造した帽子については、家表法上、表示対象外であるが、消費者に製品の情報を提供するため、任意表示として分類外繊維と表示する。

*紙繊維のみを本体に使用した帽子の場合

a. 表示例 分類外繊維(紙) 100%

2. 紙繊維の本体に、家表法の対象と定める糸を帽子の形状を整えるための副資材として使用している帽子については、紙繊維と副資材のみであることから、家表法上、表示対象外である(注3)が、全日本帽子協会では消費者に製品の情報を提供するために、任意表示として、本体材料の名称と副資材の組成を表示(副資材は分離表示)する。

(注3)
帽子の形状を整えるために使用する糸は、副資材に含まれ、家表法の表示対象外となることを消費者庁に確認済み。
(補足)
帽子の形状を整えるために使用する糸とは、材料の形状や強度を保つための補強用の糸等(巾糸、耳糸、縦糸等を含む)をいう。

*紙繊維が本体の帽子に、形を整えるためにポリエステルを使用した場合

a. 表示例 本体 分類外繊維(紙) 100%
副資材 ポリエステル100%
b. 表示例 分類外繊維(紙)
ポリエステル

3. 紙繊維を使用して製造した帽子に、家表法の対象と定める糸を使用した帽子については、家表法の表示対象となる。

*本体に紙繊維とポリエステルを柄や模様等デザインとして使用した帽子の場合

a. 表示例 分類外繊維(紙) 60%
ポリエステル 40%
b. 表示例 頭部分 ポリエステル 100%
つば部分 分類外繊維(紙) 100%
c. 表示例 色糸部分 ポリエステル 100%
その他 分類外繊維(紙) 100%
d. 表示例 分類外繊維(紙)
ポリエステル
(補足)
家表法の対象とならない繊維が大部分に使用されている糸でも、一部に家表法の対象となる繊維が使用されていれば、家表法の表示対象となる。つまり、ほんの一部にでも家表法の対象となる糸を使用していれば、残りの大部分が対象外でも家表法の表示対象となる。

V.取り外し可能な装飾(付属品)の表示方法

取り外しが可能な装飾(付属品)は、家表法上、表示対象外であるが、消費者に製品の情報を提供するために、任意表示として、表示することが望ましい。

VI.家庭洗濯等取扱い方法の表示について

家表法の対象となる帽子については、組成表示のみならず、家庭洗濯等取扱い方法(取扱い表示記号)も表示する必要がある。